『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣』(大村信夫 著)は、単なる片付け術にとどまらず、思考や人間関係、感情の整理までを扱った実用的なビジネス書です。
最近、なんだか頭の中がごちゃごちゃしてるなぁって感じること、ありませんか?
私自身、パソコンのデスクトップにはファイルが錯乱し、必要なものを探すだけでひと苦労。やるべきことはたくさんあるのに、どこから手をつけていいのか分からない。人と話していても、相手の気持ちが読み取れなかったり、会話についていけなかったりして、なんだかひとりだけ取り残されているような気がする—。
この本は同じ悩みを仕事でも、プライベートでもそんな悩みを持っているの一助となると思いました。

印象に残ったポイント5選
「片付けはゴールではなく手段」——ビジョンに近づくための一歩
の本を読んで、まず心に残ったのは「片付けはゴールではなく手段」という考え方でした。
これまでの私は、モノを捨てることにどこか罪悪感があり、「もったいない」「まだ使えるかも」と、なかなか手放せずにいました。でも本の中で紹介されていた“リフレーミング”、つまり「捨てる=手放す」と考え直すことで、その罪悪感がふっと軽くなったんです。
使わなくなった服を買取センターに持ち込んだとき、「ただ捨てる」のとはまったく違う気分になりました。誰かの手に渡って、また使われるかもしれないと思うと、むしろ前向きな気持ちになれました。
さらに心に残ったのが、「街に収納する」という発想です。
これは、すべてのモノを自分の手元に置いておくのではなく、必要なときに必要なものをシェアして使うという考え方。まさにシェアリングエコノミーの視点です。
たとえば本。以前の私は、本屋さんで気になった本をどんどん買って、結果的に「いつか読むつもり」の積読(つんどく)が山のように…。でもこの本を読んでからは、「読みたい本は、読みたいときに借りるか、電子書籍で買って、読み終わったら手放す」というスタイルに変わりました。
図書館も「街の収納庫」だと思えば、無理に自宅の本棚を圧迫する必要はありません。買った本は本当に大切に読みたいものだけにして、読み終えたら買取サービスを利用したり、友人に譲ったり。そうすることで、自分の空間にも気持ちにも、余白が生まれました。
同じように、服や家具、家電も「必要なときにレンタルする」という選択肢を持つことで、「持たない暮らし」がぐっと現実的になったように思います。
この「街に収納する」という考え方は、モノを“自分だけのもの”にせず、循環させる視点をくれました。そしてそれが、気持ちの整理にもつながっている気がしています。
たとえば、今では本を「買って積んでおく」のではなく、「読み終わったら返す」「必要なときに借りる」という意識に変わり、積読がぐっと減りました。読んでいない本に囲まれて、なんとなくプレッシャーを感じることもなくなりました。
もう一つ、本の中で紹介されていた「配置の一貫性」という考え方もすぐに取り入れてみました。たとえば、業務中はスマホを机の上に置かず、目に入らない場所に置いてみたんです。
これが驚くほど効果的で、集中力がぐんとアップ。スマホが視界に入らないだけで、余計なことを考えずに済むようになりました。
ちなみにその影響で、最近は「ポケモンスリープ」の朝と昼ごはんをあげ忘れがちに(笑)。でも、Apple Watchで緊急の通知はちゃんと受け取れるので、仕事には支障なしです。
「自分との約束」をちゃんと守ることの大切さ
この本の中で、「整理ができる人は“自分との約束”を優先し、できない人は“他人との約束”を優先する」という言葉に、ドキッとしました。
私はどちらかというと、いつも「他の人に迷惑をかけないように…」と相手のスケジュールを優先して動いてしまいがちです。気づいたら自分のタスクが終わっていないのに、空いている時間がどんどん他の予定で埋まってしまっている——そんな日々の繰り返しでした。
結果、残業や週末作業が当たり前になり、自分の時間がコントロールできなくなって、ストレスもたまっていく一方…。この悪循環、きっと多くの人が経験しているのではないでしょうか。
そんな中で取り入れてみたのが、「自分との約束をスケジュールに入れる」ということ。
たとえば、Outlookの予定表に“社内会議”という名前で予定をブロックし、その時間は誰からも会議を入れられないようにしてみたんです。実際には会議なんてしていません(笑)。でも、その時間は自分のタスクを進めるために集中できる、大切な“内なる予定”です。
特に、締め切りがまだ先の業務って、つい後回しにしてしまいがち。でも、だからこそ意識的に時間を確保しておかないと、直前になって大慌てになる…という経験、何度もしてきました。
この本を通して、「自分の仕事を自分で守ること」「自分との約束をちゃんと扱ってあげること」の大切さを、あらためて実感しました。
本は最初から読まなくてもいい。必要なところから、必要な分だけ。
この本に書かれていた「整理ができる人は途中のページから読書をし、できない人は最初のページから読む」という言葉。これを読んだとき、「ああ、それでよかったんだ」とホッとしました。
私は昔から、三日坊主気味です。特にビジネス書なんて、最初の意気込みだけで読み始めるものの、だいたい途中で止まってしまう。積読(つんどく)になる本も多かったです。
休職していたときに、たくさんの自己啓発本を読もうとしたことがありました。でも、当時は心も体も元気じゃなかったから、長く集中できなくて、最初から読むのがしんどい…。そんなときに「最初から読まなくていい」「つらくなったら読むのをやめていい」と書かれている本に出会ったとき、本当に救われた気がしました。
それ以来、「自分に関係のある章」から読むスタイルが、私の定番になりました。今の自分に必要な部分だけを拾い読みして、その中で気になった考え方やフレーズがあれば、そこをじっくり深掘りしてみる。
100%を一度に吸収しようとしなくていい。ちょっとずつ、新しい観点や気づきをもらえれば十分。そんなふうに気楽に読めるようになってから、むしろ本と仲良くなれたような気がしています。
そして、そうやって何度も読み返したくなる本だけを、今は手元に残すようにしています。まるで、部屋の整理みたいに。本棚の中も、心地よく保てるようになりました。
「なんで?」が突き刺さる日もある。だから私は“問い方”を選ぶ。
「整理ができる人は相手に“質問”をし、できない人は“詰問”をする」という一文に、思わず胸がチクリとしました。
まだ新入社員だった頃、ちょっと言い方が厳しめな上司がいました。仕事に対して真面目で、頭の回転も早く、まわりからの信頼も厚い人。でもその分、「なんで?」「どうしてこうなったの?」と立て続けに言われると、当時の私にはそれが責められているように感じていました。まだ慣れない仕事を必死にこなしていた中で、その言葉がグサグサと心に刺さったのを覚えています。
もちろん、上司に悪気はなかったと思います。実際は、飲み会や社員旅行ではフランクに話せる人で、一緒に駅まで帰ったりもしていました。でも、「なんで?」という言葉は、タイミングや関係性によっては、とても強い圧力に変わってしまうんだと気づかされました。
そんな経験があったからこそ、今の私は、「問い方」に気をつけています。相手が自分の言葉で状況を説明できるように、まずは問いのハードルを下げる。たとえば、「今どんなところでつまずいてる?」「何か困っていることある?」といった感じで。
一言の「なんで?」ではなく、背景や理由を丁寧に尋ねることで、相手は素直に話してくれます。その中で、必ず何かしらの考えや理由があっての行動だったことが見えてくる。それが正しいかどうかは、後から一緒に考えればいい。
問い方ひとつで、信頼関係も、相手の成長も、大きく変わるんだと実感しています。
「考えない」という選択が、意外と効く。
「整理ができる人はぼーっとし、できない人はひたすら考え続ける」という言葉に、最初は「えっ?」と少し驚きました。でも、思い返してみると、まさに自分に当てはまっていました。
仕事が立て込んでいたり、考えることが山積みになっていたりすると、頭の中がパンパンになって、夜もなかなか眠れない。眠れないから疲れが取れず、翌日のパフォーマンスも落ちてしまう。そんな悪循環に陥ることが、何度もありました。
だからこそ、疲れているときこそ「何も考えない時間」が必要なんだ、とこの一文に背中を押されたような気がしました。
私の場合、それは通勤電車の中。スマホを見ずに、ただ窓の外の景色をぼーっと眺める時間がとても好きです。
何気ない住宅街や川沿いの景色の中に、たまにちょっと変わった屋根の家があったり、小さな商店にユニークな看板が出ていたり。そんな発見をするだけで、ほんの少し気持ちがほぐれて、前向きになれるんです。
本書の中では、「くまのプーさん」の名言も紹介されていました。
「何もしないことをする。」
子どもの頃には何気なく見ていた言葉が、大人になって改めて考えると、とても奥深く、そして実行が難しい。でもだからこそ、大切にしたいことだと気づかされました。
「ぼーっとする=何もしない」ではなく、「脳を休ませる大切な時間」。
頭の中がごちゃついているときほど、意識的に“空白”の時間をつくるようにしたいなと思いました。
まとめ
『仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣』を読んで、単なる片付けやタスク管理の本ではないことに驚きました。モノの整理からはじまり、思考や人間関係、自分との向き合い方にまで話が広がっていて、「整理」というテーマが、実はとても奥深いものなんだと気づかされました。
印象に残ったエピソードの数々を、少しずつ日常に取り入れてみています。スマホの配置を変えてみたり、自分との約束をスケジュールに入れてみたり。こうして小さな変化を実践することこそが、本書の本当のメッセージなのだと思います。
最後に書いてある通り、ビジネス書は読むことがゴールではなく、実践することが大切。
完読したことでスタートラインに立ったと考え、これからも少しずつ、職場で実践していきたいです。
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