ふと、「しんどい」と感じた日。
書店で目に飛び込んできた、ストレートなタイトルのこの本。
なんとなく手に取ったその瞬間、自分が思っていたよりもずっと無理をしていたことに気づかされました。
『あなたのしんどいをほぐす本』は、頑張りすぎる私に、やさしく「一度立ち止まってもいいよ」と語りかけてくれる本です。
不安や、焦り、なぜかイライラしていたり、不満などいろいろな要因からくる「しんどい」「しんどいかも」と感じた人。頑張りすぎている人に向けて進めの本です。
この本の中から、私が心に残ったことを共有したいと思います。
著者/編集: Poche(著), もくもくちゃん(絵)
自分を労うことが苦手
私は、「頑張ったね」と自分に言うことが、なかなかできません。
言葉として口に出すことはできても、心の底からそう思えないのです。
「みんなやっていることだし」「みんな同じ状況なんだから」と自分に言い聞かせ、
「もっと工夫できたんじゃないか」「ちゃんとミスに気づけたはず」と、
自分の頑張りを素直に評価することができませんでした。
いわゆる“マイナス思考”や“過小評価”の癖が、自分の中にずっとあったのだと思います。
何かをやり遂げたときも、達成感より先に次の課題や反省点が頭に浮かんでしまい、
「ここまでできた」という実感を持てないまま、次のことへと進んでしまう。
「過程」より「結果」を重視する思考が強くて、
どんなに頑張っても、うまくいかなければ意味がないとさえ感じていました。
でも、この本にはこう書かれていました。
「これはできた」「ここまではできた」と、まず事実を認めてください。
それを読んだとき、
「無理に自分をねぎらわなくてもいい。事実を、ただ事実として受け止めるだけでいいんだ」
と思えたことが、私にとっては小さな救いでした。
「できる=やらなきゃ」じゃないことを知ろう
私が一番印象に残った言葉です。当たり前かもしれないが、これを知ることで「今日は断ろう」「今日はやめておこう」と「やらない」ことを選択することに気づきました。
「やらない」ことに罪悪感を感じますが、体調管理の1つとして選択肢として持てるようになりました。
私はずっと、「自分にできることは、全部やらなきゃいけない」と思っていました。
誰かが困っていたら、自分が助けるべきだ。
誰よりも気づけるなら、自分がやるべきだ。
自分がやったほうが早いなら、任せずに引き受けるべきだ。
そんなふうに、できることのすべてを、どこか「義務」のように感じていたのです。
でも、「やらない」ことも選んでいい。
それを選ぶことに、最初は罪悪感もありました。
けれど今では、「やらないこと」も体調管理のひとつだと、少しずつ受け入れられるようになってきました。
できることを、必要なときに、必要なぶんだけ。
やらない選択をしても、自分の価値が下がるわけではない。
この本は、そんなことを、やさしく教えてくれました。
相手が変わらないのは相手の問題
誰かとの関係で悩むことは、エンジニア業界ではよくあることだと思います。
正直、ソースコードを読むことや書くことよりも、人との関係のほうがずっと難しく感じることもあります。
コードのエラーなら、原因を突き止めて修正できます。
でも、チーム内の違和感は、「何が悪いのか」がわからないまま、じわじわと積もっていくことも多いです。
「これ以上、私は何をどうすればいいの?」
そんなふうに思い悩んだこともあります。
でも今は、「これ以上頑張っても、相手が感謝してくれないなら、無理に変わろうとしなくていい」
「相手が変わらないのは、相手の問題。私が悪いわけじゃない」
そう思えるようになってきました。
誰かとの関係で悩むことは、簡単に解決できるものではありません。
でも、そうやって自分の心を守る思考を持つことは、私にとってとても有効でした。
過去に怒りを感じるのは、「今」安全な環境にいるから
今の私は、休職前の周囲の状況を思い出すと、怒りを感じることがあります。
でも、当時の私は「怒り」よりも、「やらなきゃ」「動かなきゃ」という気持ちに支配されていました。
この本にも書かれていたように、私は無意識のうちに「怒らないほうがいい」「感情を出すのはよくない」と、自分の気持ちにブレーキをかけていたのだと思います。
言い返せなかった自分に対して、あとから何度も責めたり、
「もっとこう言えばよかった」と後悔したり、
思い出しては悩み、眠れない夜もありました。
それでも翌朝には、「明日はもっと頑張らなきゃ」と自分を奮い立たせて、
そんなふうに毎日を繰り返していました。
でもこの本は、そんな私にこう教えてくれました。
「怒っている自分を責めなくていい。怒りを感じられるようになったことは、前に進んでいる証拠です」
この言葉に出会ったとき、私はハッとしました。
怒りを感じられるようになったということは、今の自分が『安心できる場所にいる』ということ。
ようやく、自分の感情に正直になれる環境に戻ってこれたのだと、静かに気づかせてくれました。
自分の変化
『あなたのしんどいをほぐす本』を読んで、私は少しずつ変わっていきました。
当時の私は、心も体もガチガチに緊張していて、「しんどい」と言葉にすることすらできませんでした。
でもこの本に出会って、少しずつそのこわばりがほどけていくのを感じました。
まるで、「頑張りすぎてるよ」とそっと声をかけてもらったような気がしたのです。
休職中、この本はいつも私のそばにありました。
何度も何度も読み返しながら、自分の感情を確かめたり、落ち着けたりしていました。
他人にはなかなか打ち明けられない「しんどい」という気持ちを、自分自身で少しずつ受け止められるようになりました。
そしてこの本は、「立ち止まってもいい」「必要以上に頑張らなくていい」と教えてくれました。
それは、私がずっと求めていた言葉だったのかもしれません。

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