—エドワード・マーフィーの法則に学ぶ、エンジニアの備え—
「ちゃんと手順書通りにやったんですけど…」
「まさか、あの後輩がまた…?」
「あれだけ注意したのにセキュリティ事故。またか…」
エンジニアとして働いていると、こんな言葉に何度も遭遇します。
これは偶然ではなく、必然かもしれません。
なぜなら私たちは、常に“マーフィーの法則”の中で働いているからです。
“マーフィー”と名のつく法則、実はひとつじゃないんです。
リスク管理、思考法、そしてアニメにまで!?
まずは3人のマーフィーを比べたこちらの記事から読むと、より楽しめます。
👉マーフィーの法則、実は3種類あるって知ってた?―失敗・成功・カオスの狭間で
エドワード・マーフィーとは誰か?
1940年代、米空軍の危険なロケット実験の現場にいたエンジニア、
エドワード・A・マーフィー・ジュニア。
ある日、加速度計の取り付けを誤った部下の失敗に対して、彼はこう言い放ちます。
「うまくいかない可能性があるなら、必ず誰かがそれをやらかす」
この言葉は、のちに「マーフィーの法則」として広まりました。
現在では、「失敗は起きる前提で備えよ」というリスクマネジメントの知恵として、多くのエンジニアに語り継がれています。
マーフィー的瞬間は、今日もやってくる
私自身、日々の仕事で何度も“マーフィーの法則”を目撃してきました。
- 「手順通りにやったのに、なぜかできない」
検証環境では完璧だったのに、本番だけうまくいかない。設定ミス?タイミング?誰も原因を特定できず、「プルしたら直った」「再起動したら直った」というお決まりの結末。 - 「相手が忙しいから返信こないだろうな…と思ったら、やっぱり来ない」
こういうときに限って、こちらも手が止まって連鎖的に遅延。Slackの未読がずらりと並び、「念のため確認ですが、こちらの件どうなりましたか?」のDMが飛び交う午後。 - 「やっちゃダメだよ」と言ったのに、やってしまう後輩
操作ミス禁止と口酸っぱく言ってたのに、先輩が不在のすきにやらかす。「一応バックアップ取ってましたよね…?」と震える顔が忘れられません。 - 「セキュリティ事故は防ぎたい」と分かっていても、誰かが入館証をなくす
人間のミスを想定していない設計の方が悪い。そんな呟きとともに、今日も誰かがリスクを実現してしまうのです。
なぜ、マーフィーの法則は起きるのか?
失敗は、怠慢や無能だけで起きるわけではありません。
むしろ、「ちゃんとやってるのに、なぜか起きる」から厄介なのです。
- 認知バイアス:人は「自分は大丈夫」と思いたがる
- 複雑系の罠:システムやチームが複雑になるほど、想定外が増える
- 属人化・文化:誰かの“慣れ”が、他人にとっては“落とし穴”になる
つまり、マーフィーの法則は人間と組織の“構造的な必然”なんです。
備えよ、常に。マーフィーを仲間にする技術
だからこそ、エドワード・マーフィーの教えはただの皮肉ではありません。
それは「予防と設計」の重要性を教えてくれる、プロフェッショナルの心得です。
- バリデーションとチェック機能は、“誰かがやらかす前提”で作る
- 作業手順は「やってほしいこと」だけでなく、「やっちゃいけないこと」も明示
- ミスが起きても被害を最小化する“フェイルセーフ”設計
- ヒヤリ・ハットを個人で抱え込まない“共有文化”
私たちができるのは、「起こらないように祈る」ことではありません。
「起こるとしたらどんな形か?」を想像し、先回りして手を打つことです。
マーフィーは弱音じゃない。知恵だ。
エドワード・マーフィーは、けっして嘆いていたのではありません。
むしろ「最悪を想定することこそ、最良の結果をつくる」と教えてくれたのです。
だから私は、良くない”何か”が起きたときにこう思うようにしています。
「あぁ、マーフィーの法則だ。。。」
そう思えば、次にできることが見えてきますし、少しだけ気分が下がるのを防げます。
失敗は、成長のチャンス。
次回は、「信じれば現実になる」ジョセフ・マーフィー編に続きます。
でもその前に——
今日も何か、想定外が起きていませんか?
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